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多重下請け構造実態調査結果   手数料 別建て請求は5%のみ

多重下請け構造実態調査結果   手数料 別建て請求は5%のみ

 国土交通省に設置されたトラック運送業における多重下請け構造検討会は11月28日の第2回会合で、実態調査の結果を報告し、今後の議論の方向性を議論した。下請けは、直接荷主や元請けと契約したいが、業界のしがらみ(商習慣)でできず、最初に依頼がきた事業者のルートが固定化されている実態が明らかになった。
 調査は、第一種貨物利用運送事業者へのアンケート、トラック事業者やマッチングサービスを行う事業者へのヒアリングを行った。第一種利用運送事業者(2万7976社)の回答者数が1094社(回答率3・91%)と低いため、全体を網羅していないことに注意が必要。
 第一種利用運送事業者には、手数料の設定方法や収受方法、多重下請け構造の中での立ち位置などを聞いた。
 標準的な運賃では、下請け手数料は運賃とは別に上乗せして収受すると運送約款にも明記されているが、アンケートによると運賃から差し引いている事業者が52・7%と過半数で、別建てで請求しているのはわずか5・0%。理由として商慣習を挙げる事業者が大多数を占めた。
 第一種利用運送事業者の役割は、荷主と運賃交渉を行う、実運送より高い運賃を荷主から引き出し実運送に還元する、運送以外の附帯作業は引き受けないなどが挙げられた。
 マッチングサービスについて、指摘されていた専業水屋で法外な手数料を取っているケースは見たことがない(手数料は一律2000円程度が多い)としている。
 マッチングサービスを利用する理由は「帰り荷の確保」が多く、サイトに掲載される運賃は「格安」といわれるが、そうとは言い切れないこともわかった。
 サイトを利用しない理由は、顔が見えないため取り引きが不安、どんなドライバーが来るのかわからず、悪い評判も聞くなどが挙げられた。
 トラック事業者からほかのトラック事業者に下請けする理由は、運びきれない依頼が来ても断れないという商習慣が存在しているため。
 下請けに出す場合の手数料は5~10%が相場だが、ヒアリングでは引き受けた運賃の5~6割で出すケースもあった。
 これらの結果について、実運送に適正な運賃が下りないのが問題であり、標準的な運賃の効力を上げる方策などを今後検討していく。次回来年1月下旬の検討会で論点をまとめる。
                         2024.12.3

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