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交運労協研究集会 ゆとりある働き方へ

交運労協研究集会 ゆとりある働き方へ

働き手に仕事を合わせる

パネルディスカッション

 全日本交通運輸産業労働組合協議会(交運労協)は5月20・21日の両日、「人材不足を克服し魅力ある持続的な交通運輸・観光サービス産業を創るために」をテーマに交通運輸政策研究集会を開催。初日のパネルディスカッションでは「仕事に人が合わせるのでなく、働き手に合わせた仕事のやり方に」などの意見が出された。


 パネルディスカッションは、荻山市朗政策委員長をコーディネーターに基調講演したNX総合研究所の大原みれい主任研究員と流通経済大学の板谷和也教授、これに運輸労連の今井瑞希書記次長、航空連合の坂元慎平副事務局長、交運労協の慶島譲治事務局長が加わった。


 はじめに運輸労連の今井氏が職場安全点検アンケートをもとに、改善基準告示はこれまで約9割が守られていたが、4月からの改正により拘束時間などが短縮されると遵守率は6割に低下すること、違反原因行為の過半数が「長時間の荷待ち」であることを挙げ、「労働時間の減少で賃金が下がらないようにする必要があり、長時間の荷待ちが問題」と指摘した。


 NX総研の大原氏は、「2024年問題を機に荷主の理解も少しずつではあるが改善されてきている」としつつ、不規則勤務に対して特段の配慮が必要であり、「しわ寄せは手当てで補うべき」との考えを示した。


 流経大の板谷氏は、「フランスではコンビニは夜は閉まる。ゆとりを持った働き方は、社会全体でもつべき」と主張した。


 女性の活躍について、航空連合の坂元氏は「休みがしっかり取れるようにすることは女性だけの問題ではないが、女性役員を意識的に増やすことが休みの増加につながる」と述べた。


 今井氏は、昨年ジェンダー平等推進計画達成に向け実態調査を行い、「それによりほかの組織が見える化し、達成率が上がった」と述べるとともに、「学習会を開いて課題を認識することにより、自分事として捉えることができるようになった」と振り返った。大原氏は、男女間の賃金格差は、女性が介護や子供の熱などで休むことも原因とし、「女性管理職が増えていけば改善される。そうした職場の環境づくりが必要」と指摘した。


 交通運輸産業の魅力向上について、交運労協の慶島氏は「交通運輸産業は安く提供すべきなど過小評価されている。政策で変えていくべき」との考えを示すとともに、人件費の変動費化の脱却など賃金のパラダイムシフトが必要であり、むしろ「賃上げできない企業は持続可能ではない」と切り捨てた。


 今井氏は「女性が働きやすい職場は男女とも働きやすい職場」、板谷氏は「日本は経営者や株主が強すぎる。労働者の意見を聞き、利用者のためになる政策を進めるのが本来の姿」と述べ、大原氏は「働き手に合わせた仕事のやり方にし、そうした多様なロールモデルをもっとPRすることで、子供が憧れる産業を目指していくべき」と展望した。

2024.5.24

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