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高速道路での大型トラックの速度規制
高速道路での大型トラックの速度規制
メーカー 時速90㌔なら問題ない
物流革新に向けた政策パッケージで挙げられた高速道路での大型車の速度規制引き上げ。賛否は真っ二つに分かれているという。警察庁は、現在さまざまな角
度から調査やヒアリングを実施しているが、決定的な判断を下せる状況には至っていない。
現在、時速80kmのされる高速道路上の大型トラックの最高速度について、恒常的なドライバー不足や労働時間制限の中で、期待される安全レベルが維持できるのであれば、制限速度を引き上げる余地があるとの仮説から、警察庁は有識者検討会を設け、検討を始めた。今後、論点を整理した上で、年内をメドに提言をまとめる。
■死亡事故率低下も普通車より高い
これまでの調査結果によると、高速道路での大型トラックの死亡事故件数は、30年前の93~97年(326件)と直近の18~22年(94件)を比較すると約7割減少、死亡事故率(交通事故件数に占める死亡事故件数割合)も7・5%から4・9%へと低下している。ただ、普通自動車と比べると、死亡事故率は2倍以上となる(グラフ参照)。
高速道路での平均速度と実勢速度は、普通自動車が平均98km、実勢115kmに対し、大型トラックは平均80km、実勢87km、トレーラは平均77km、実勢84km。
■大型車の速度超過違反は些少
高速道路での交通違反検挙件数は、普通自動車が速度超過が69%と最も多いが、大型トラックは通行帯関連違反が上位で営業用トラックは積載重量制限超過が2・5%(自家用は22・6%)、速度超過はそれよりも低い(統計に上がらない)。
大型トラックメーカーへのヒアリングでは、速度抑制装置の上限設定速度である時速90kmを前提に各部品の開発や車両設計を行っており、最高速度90kmまでの引き上げであれば問題はない。トレーラは時速80kmよりも高い速度で走行試験はしておらず、性能は確認していないという。
■費用負担増大を懸念
運送事業者からのヒアリングでは、引き上げた場合のメリットは到着時間の短縮による輸送品質の向上、労働生産性の向上、運行時間短縮によるドライバーの休息時間拡大が挙げられた。一方、懸念事項として追突事故やカーブ走行時の横転など被害の重大化、燃費の悪化、新たに車両開発が必要となった場合の車両単価の上昇や衝突被害軽減ブレーキなど費用負担の増加、ドライバーの疲労度・緊張度の醸成が考えられる。
1日の拘束時間をシミュレーションした結果、平均速度70kmだと16時間かかるところ、90kmだと13・75時間となり、改善基準告示の上限(15時間)を遵守することができ、休息期間(9時間以上)を入れずに翌日の市場の競りに間に合うケースがあるとしている。
■早く…心理的負担も
他方、目的地に早く到着しても、荷待ち・荷捌きに時間がかかる現状が変わらなければ意味がない、最高速度引き上げを理由により早く運ぶことを荷主に求められることになる心理的負担が事故につながる懸念があるという意見もあった。
有識者検討会は、今後もヒアリング・アンケートを続け、今月から来月にかけて提言の骨子案を報告する。
2023.10.17
現在、時速80kmのされる高速道路上の大型トラックの最高速度について、恒常的なドライバー不足や労働時間制限の中で、期待される安全レベルが維持できるのであれば、制限速度を引き上げる余地があるとの仮説から、警察庁は有識者検討会を設け、検討を始めた。今後、論点を整理した上で、年内をメドに提言をまとめる。
■死亡事故率低下も普通車より高い
これまでの調査結果によると、高速道路での大型トラックの死亡事故件数は、30年前の93~97年(326件)と直近の18~22年(94件)を比較すると約7割減少、死亡事故率(交通事故件数に占める死亡事故件数割合)も7・5%から4・9%へと低下している。ただ、普通自動車と比べると、死亡事故率は2倍以上となる(グラフ参照)。
高速道路での平均速度と実勢速度は、普通自動車が平均98km、実勢115kmに対し、大型トラックは平均80km、実勢87km、トレーラは平均77km、実勢84km。
■大型車の速度超過違反は些少
高速道路での交通違反検挙件数は、普通自動車が速度超過が69%と最も多いが、大型トラックは通行帯関連違反が上位で営業用トラックは積載重量制限超過が2・5%(自家用は22・6%)、速度超過はそれよりも低い(統計に上がらない)。
大型トラックメーカーへのヒアリングでは、速度抑制装置の上限設定速度である時速90kmを前提に各部品の開発や車両設計を行っており、最高速度90kmまでの引き上げであれば問題はない。トレーラは時速80kmよりも高い速度で走行試験はしておらず、性能は確認していないという。
■費用負担増大を懸念
運送事業者からのヒアリングでは、引き上げた場合のメリットは到着時間の短縮による輸送品質の向上、労働生産性の向上、運行時間短縮によるドライバーの休息時間拡大が挙げられた。一方、懸念事項として追突事故やカーブ走行時の横転など被害の重大化、燃費の悪化、新たに車両開発が必要となった場合の車両単価の上昇や衝突被害軽減ブレーキなど費用負担の増加、ドライバーの疲労度・緊張度の醸成が考えられる。
1日の拘束時間をシミュレーションした結果、平均速度70kmだと16時間かかるところ、90kmだと13・75時間となり、改善基準告示の上限(15時間)を遵守することができ、休息期間(9時間以上)を入れずに翌日の市場の競りに間に合うケースがあるとしている。
■早く…心理的負担も
他方、目的地に早く到着しても、荷待ち・荷捌きに時間がかかる現状が変わらなければ意味がない、最高速度引き上げを理由により早く運ぶことを荷主に求められることになる心理的負担が事故につながる懸念があるという意見もあった。
有識者検討会は、今後もヒアリング・アンケートを続け、今月から来月にかけて提言の骨子案を報告する。
2023.10.17