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欧州のEC 配送は5日が限度

欧州のEC 配送は5日が限度

JETROレポート 急成長する事業者も

 日本貿易振興機構(JETRO)は、欧州のEC市場に関する調査を行い、レポートをまとめた。欧州のEC購入者は、注文後に商品が届くまでの許容時間は最長3~5日と考えており、ECでは受注後の迅速な手配が重要としている。

 この調査は、欧州13カ国を対象に、EC市場の主なマーケットプレイス(市場取引)などについて言及した。

 □成長途上にあるEC市場、東欧で高い伸び率
 欧州のeコマース市場は、2017年以降右肩上がりの成長を続けており、22年は前年比11・0%増の7970億ユーロになると予測している。
 
 しかし、米国や東アジアと比べるとまだ成長途上にあり、EC販売額は上位5カ国を合わせても日本の規模に及ばない(表参照)。

 RC販売額の82%をB2Bで占めているが、B2Cの販売額は英国は日本を上回っている。英国ではインターネット利用者の88%がオンライン購入を経験済みなのに対して、日本では54%にとどまっていることが理由に挙げられる。

 なお、フランスの物流調査会社によると、19年のB2C販売額について、西欧は前年比12・6%増だったのに対して、南欧は22・5%増、東欧は26・6%増と2倍前後の伸び率となり、国別にはルーマニア、ブルガリア、スペインの伸びが高かった。

 □18年に越境小荷物配送サービス規則適用
 一方、EU域内の越境ECは、近年は拡大しているが、15年時点でほかの加盟国にオンライン販売している企業はわずか9%だった。要因として、加盟国間で異なる取引ルール、高い商品配送コスト、ジオブロック(地理的要因による制限・差別)が指摘された。

 このため、ジオブロッキングおよび越境小荷物配送サービスに関する規則がともに2018年に適用された。

 ジオブロッキング規則は、利用者の国籍や居住国などを理由とするオンラインショップによるアクセス拒否や制限、異なる条件(支払いなど)の提示が禁止された。

 □配送料金表の提出を義務付け
 越境小荷物配送サービス規則は、合理的な価格設定やサービスの質向上を目的に、すべての小荷物配送サービス事業者にサービスの詳細、売上高、従業員数、取扱荷物数、配送料金表などの提出を義務付け、欧州委員会は料金表を公示し、監督当局は価格の妥当性を検証するようにした。

 こうしたことが効を奏し、2022年見込みの越境EC販売額は1794億ユーロ、域内のEC販売額に占める割合は27・3%に向上しており、特にオーストラリアとドイル、ベルギーとフランス、オランダとベルギーなど相互に言語や文化を共有する国々で盛ん。

 □フルフィルメントサービスに特化した企業も
 市場調査会社が22年12月に発表した「欧州のB2C EC配送分析レポート」によると、EC購入者の半数以上が会計時に標準の宅配を選択、特に英国・ドイツ・オランダは配達時に署名が必要な宅配を希望する人の割合が高いとしている。

 多くの国のEC購入者は、注文して商品が届くまでの許容時間は最長3?5日と考え、6日以上を許容できる購入者はほとんど存在しない、特にドイツ、スウェーデンで顕著となっている。

 配送への要求も多様化している。このため、ECのフルフィルメントサービスに特化した企業も出現。例えばOmnipack(ポーランド、16年設立)LinkerCloud(同、17年設立)など倉庫と物流業務を管理するソフトウェアを構築し、EC事業者に託された商品を保管、引き当て、配送するサービスで急成長、米国のShipBob(14年設立)も英国にフルフィルメントセンターを設置し、欧州事業を展開している。

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